2021.3.12 竹中美根子(放送を語る会・大阪)

 

  NHKスペシャル     イナサ 風寄せる大地 16年の記録 3月8日放送 

 

   東日本大震災から10年 大津波に襲われた漁村 仙台市荒浜地区の人達の震災をはさんだ16年間の記録です。イナサとは暖かい東南の風の事で荒浜に豊かな恵をもたらします。舟が出られなくなる強い北東風はナライと言い風に名前がある様に人々は風を暦がわりに暮らしてきました。 

      取材が始まった2005年賑やかな田植えや小学校運動会等が紹介されます。震災で180人の人が亡くなりました。タンス預金していたのもみんな流されました。仮設住宅を経て5キロ離れた内陸に居を構えています。老農民 老漁民の人達が大地と海でしっかり生きてきました。その日常が淡々と描かれています。風避けの松から風にのって落ちてきた松ボックリ その種から育った松だから生命力が強いんだね 種から小さな苗木になり今では3メートルを超える位大きくなりました。津波になぎ倒された命 又根を下ろし枝を広げていっています。16年間もの長い間の記録ですが毎日の生活の有り難さが伝わってきます。NHKならではの番組だと思いました。

 

  NHKスペシャル  徹底検証 除染マネー・巨大公共事業で何が 3月10日放送

 

    東日本大震災での東京電力福島第一原発事故後、国は全域除染を原則に「被災地の生活を取り戻す」為の巨大事業に取り組んできました。一昨年の国税局から多額の申告漏れで摘発された福島の相双と言う会社は「住民が戻れる為に何とかしたい」と言う熱い思いから起ちあげられた会社でした。4年目に利益が100億を超えるようになると社員に新車を買い与えたり、作業服をスーツにしたり、現場に来なくなったり、そして過剰な接待・不当な利益供与等、ゼネコン下請け業者として多額のお金を手にした事で、何とかしたいと復興への志が薄れていった様です。今だに故郷に帰れない帰還困難区域の人が20000人位いると言われています。我が家に帰る時に防御服を着て家に入る夫婦の会話がとても印象的でした。「何の喜びも無い 安心して普通の元通りに戻してほしい。棄民じゃないか。」震災の3月11日に娘さんの卒業式に着る予定だったセーラー服が目に残りました。

 

  NHKスペシャル   定点映像 10年の記録 3月11日放送

 

 同じ場所・同じ画角で震災後から撮影続けた被災地100カ所の軌跡が紹介されています。

福島南相馬で、2011年5月、瓦礫の中から鯉のぼりが見えました。生まれて7ヶ月の赤ちゃんがお母さんと一緒に震災に遭いました。翌年、「孝心」と名付けられていた赤ちゃんを偲び鯉のぼりを上げたそうです。

 鯉のぼりをあげた翌日、孝心君の遺体が見つかったそうで、孝心君が見てくれたのだと若いお父さんがつぶやいていました。仏壇には小さい鯉のぼりが供えられていました。

 春・夏・秋・冬の風景と音…映像の裏に秘められた知られざる復興の実情が見えました。