アーチャン(放送を語る会・大阪)

 TBSサンデーモーニング(3/7放送)

 

 10年を節目に多くの番組で津波の恐怖映像や復興の様子、今後の課題を取り上げていたが、この番組では原発事故に対応する作業にあった問題点の解明について耳目をひいた。

 一つはメルトダウンを判断する水位計の誤表示を見極められなかったこと。この水位計の誤表示問題はスリーマイル島の事故で明らかになっていたが、日本ではこの問題の究明を怠り、対応の大幅な遅れを招いた。更に9.11のアメリカでの同時多発テロの後、全電源喪失の危険性を指摘されていたにも関わらず、水蒸気を逃がすベントで停電により停止した弁の手動操作を誤り、逆流ー水素爆発を引き起こした要因になったことなどを分析していた。

 大震災が1000年に一度の周期をもって発生するという知識を活かせなかった点などについて攻めるのは酷かもしれぬが、同質の大災害を同世代のチェルノブイリやスリーマイル島の原発事故で経験されているのに、その教訓を活かせなかったのは何とも腹立たしい。また停電でも冷却できる非常用復水器の稼働テストをアメリカでは定期的に行っていたが、日本では1971年に製造者のGEが数回行っただけで、その後こうした事故を想定した訓練を行うこと自体、住民を不安にさせるとの判断で行わない傾向があったという。 

 浜田女史は新型コロナの渦中で原発事故との共通点があるとしながら、大災害に対する心構えとして、最悪のシナリオを想定することや現実から逃避せず科学的知見を持って判断するという教訓が活かされていないことを指摘。また同質性の高い組織の中で同じような考えを持った人達が判断することで、間違った方向に進んでしまう。これらの事象を根本的に見直すべしと断。 

 ジャーナリストの青木氏も原発事故のあった日を思い起こしながら、一時は東京もダメになるかもと覚悟した経験や、大使館員が帰国しているのに、テレビや新聞も重大事故の事実を報じていなかったことを追及、この地震大国に原発はあっていいのか!!と日本の政治、企業体質の悪弊を厳しく指摘する番組になっていた。