平林光明(大阪) 

「五輪中止を求める朝日社説に拍手」


 7月23日の東京オリンピック開幕まで2か月を切った。コロナは収束の気配を見せず、医療崩壊は深刻度を増している。この状態で世界から10万人近い人を集め、国民生活の上に置こうとするオリ・パラの開催に対して、8割近い国民が中止または再延期を求めているのに、IOCや菅内閣、東京都は耳を傾けず、強行開催に突っ走っているのは、異常を通り越して傲慢といわざるを得ない。

 こうした国民の声に応える意見は、信濃毎日新聞や西日本新聞といった地方紙にとどまっていたが、ようやく5月26日、全国紙のトップを切って朝日新聞が「中止の決断を首相に求める」という社説を掲載した。

現状を『誰もが安心・安全を確信できるには程遠い』と危惧し、『人々が活動を制限され困難を強いられるなか、それでも五輪を開く意義はどこにあるのか』しばしば説明を求めたが腑に落ちる説明はなかったとして、『社会に分断を残し、万人に祝福されない祭典を強行したとき、何を得て、何を失うのか。首相はよくよく考えねばならない』と中止を説いている。

国民の大多数の意見を代弁し、誤った政治に警鐘を鳴らす、報道機関の役割に応えた発言として拍手を送りたい。
 常日ごろ朝日新聞は権力の圧力と、ネトウヨの攻撃の標的とされていることから、また攻撃が集中すると思うが、孤立させることなく、「社会の公器」としての役割を果たすメディアが続くことや、国民の激励が支えることを期待したい。