2021.5.18. アーチャン

 

「イチケイのカラス」 フジテレビ 517日 2100分~2154

    司法VS型破り裁判官・決戦の時

 

イチケイとは東京地方裁判所第3支部第1刑事部の通称。そこに所属する裁判官の男女二人が中心になり微妙な人間関係でドラマを展開していく。先輩の裁判官は肩肘を張らず、それでいて探求心旺盛、正義感の溢れる元弁護士の経歴を持つ入間裁判官で竹野内豊。対照的に後輩は、上昇志向が強くまじめで冗談の通じない堅物の坂間判事補で黒木華が演じている。

既に数回の事件を手掛け、坂間が先輩の入間裁判官の人間性に引かれていくところがこのドラマの趣向をほのめかしているが、毎回、人道的な解決の落としどころが感動的。

今回は、12年前の殺人事件で無期懲役になった冤罪被告人を当時、弁護しきれなかった入間が再審裁判で裁判官として担当という奇跡的な陣立て。さらに証人として元特捜の次長検事や最高裁判所裁判官を呼ぶという波乱万丈。下層部に当たる裁判官や検事の正義感に満ちた行動に対し、上層部に当たる証人たちの高慢な言動に鼻持ちならぬ怒りを感じさせられるが、裁判を逃げ切ったところで次長検事が「政治家や企業の不正を隠匿し国益を守るべし」の失言。これを聞いた最高裁裁判官が辞任を覚悟に記者会見で「真犯人は元国税庁職員」と告発し一件落着。

ちょっと信じがたい結末だが、事件の背景に脱税や天下り、さらに裁判官の上層部への忖度などをテーマにしており、政治腐敗や企業の不正の告発ドラマに座布団3枚。